「……先生はどうして急に誘ってくれたんですか?」
今でも先生の車に乗っていることが信じられない。
「急じゃねーよ。期末が終わったら誘おうと思ってた」
「私にしてみれば急でしたよ」
けれど、先生が私のことを心配してくれてることは学校で送られてくる視線で分かっていた。
先生は車を走らせてそのまま首都高に乗った。
『どこに行くんですか?』と聞いても先生は『秘密』としか言わない。でも、ここから二時間弱かかることだけは教えてくれた。
目的地も分からないまま車に乗るなんて、他の人だったら考えられないけれど隣にいるのが先生だから不安はない。
むしろ、このまま私のことを連れ去ってくれないだろうか、とオレンジ色に光る照明灯を見ながら思っていた。
「タバコ、吸っていい?」
「は、はい。先生の車なのでもちろん」
「窓開けるから」
先生はしっかりと煙が車内に充満しないように気を付けてくれた。
左手でハンドルを持ち、右手でタバコを吸う。今さらだけど、やっぱり先生はすごく大人だと思った。



