誘われた時には舞い上がっていた私も、今は借りてきた猫のように静かだった。
先生とドライブなんて、私は夢でも見てるのかな。
それにしても、ハンドルを握る先生の姿が新鮮で。運転している先生がカッコよすぎて、私は益々無口になる。
「……ぷっ」
そんな中で、突然先生が堪えきれなかったように吹き出した。
「な、なんで笑うんですか?」
慌てて着替えてきたから変な格好でもしてるんじゃないかと思い、私は自分のことを確認する。
「いや、だって。ベルトの金具をシートに突き刺してるヤツ初めて見たよ」
どうやらシートベルトに手こずっていた私のことを思い出していたらしい。
「し、仕方ないでしょう。助手席に乗ることなんて滅多にないし、先生とドライブだから緊張しまくってるんですよ」
「そうなの?」
先生の余裕な表情に私はムッとする。けれど、このやり取りのおかげで私は少しだけ落ち着くことができた。



