そのあと先生は本当に近所まで迎えにきてくれた。
先生の黒い車は過去に何度か見たことがあったけれど、こんなに間近で確認したのは初めてのこと。
「寒いから乗って」
先生はそう言って助手席のドアを開けてくれた。
「……私が助手席に座っていいんですか?」
「ドライブなんだから当たり前だろ。ほら」
軽く背中を押されて、私は先生の車へと乗り込む。
車内は先生の匂いがした。考えてみれば、男の人の車に乗ったのも初めてだ。
「シートベルトしろよ」
運転席に乗ってきた先生がすぐに言った。
「え、は、はい」
私は緊張を隠すことができずに、シートベルトの差し込み口さえうまく見つけられない。
「ちょっと貸して」
先生が運転席から身を乗り出して手を伸ばす。
ふわりと、先生の髪の毛が顔に当たった。
……ドクン、ドクン。どうしよう。距離が近い。
私の心臓の鼓動と同じように先生は素早く私のシートベルトを装着してくれた。
「じゃあ、行くよ」
そして、先生とのドライブがはじまった。



