……ブーブーブ。
その日の夜。ベッドに横になりながら天井を見つめていると、スマホが振動していた。
【着信 郁巳先生】
画面に表示された名前を見て私は飛び起きる。
「せ、先生、どうしたんですか?」
私は声を上擦らせたまま電話に出た。
『なにしてる?』
スピーカー越しの先生の声が鼓膜に柔らかく響く。
「な、なにもしません。部屋でゴロゴロしてました」
『飯は?』
「菜穂とのランチでがっつり食べたのでまだお腹が空いてなくて」
『じゃあ、ドライブ行かない?』
その言葉に私の思考がピタリと停止した。
ド、ドライブ……?
え、待って。これは一体どういう展開?
『家の近くまで迎えにいくから。えっと、お前ん家の住所って……』
「ドライブって先生とふたりきりで、ですか?」
期末テストも終わったし、もしかしたら他のクラスメイトたちも一緒に、なんていう展開もありえると思って一応確認した。
『俺とふたりじゃイヤ?』
すると、返事はすぐに返ってきた。表情は見えないけれど、声が少しだけ不機嫌になったような気もする。
「全然イヤじゃないです。すぐに支度します!」
『うん。着いたらメールする』
なんだか恋人のようなやり取りだな、と浮かれつつ。私は毛玉が付いている部屋着を脱いで急いで私服へと着替えた。



