「……先生、私、どうしたらいいですか?」
スカートの上で握りしめていた拳を強くする。
もし、私がひとりぼっちだったら。
誰とも関わらないことが正しいと。教室の隅で声を発することもなく、ただ1日が過ぎていくことを待っているだけの私だったら……。
お母さんに付いていくことを迷うことなく選んでいたと思う。
でも今はそうじゃない。
この街を、この学校を、この場所から出ていきたくない理由が私にはたくさんある。
「……私、先生から離れたくないです」
「………」
「先生に会えなくなるのはイヤです……っ」
大粒の涙が床に溢れ落ちた。
こんなに大切な人ができるなんて思ってなかった。
こんなに先生のことを好きになるなんて、ひとりぼっちだった頃は考えもしなかった。
「……的井」
先生がゆっくりと私の手を握った。
それは戸惑うように。けれど確かな想いがあるように。
私が先生に大好きだと伝えたあの夜と同じ。人差し指を小さく掴むだけの幼い握り方だった。



