先生と17歳のあいだ





保健室に着くと先生はすぐに私を椅子に座らせてくれた。どうやら養護教諭の先生は不在のようで、保健室には誰もいなかった。


消毒液の匂いが漂う静かな空間で、先生が箱の中から一枚の紙を取り出す。

それは保健室カードといって、保健室を利用する時に症状などを書かなくてはいけないものだった。



先生は私の代わりに名前や時間を書き込んでくれた。

黒板でチョークを使う時よりも細い字体。やっぱり先生の字はとても読みやすくて綺麗だった。



「一応、熱だけ計って」

「……はい」


私は先生から受け取った体温計を脇に入れる。



「昨日は寝た?」 

「いいえ」 

「朝ごはんは食べた?」

「いいえ」 

「じゃあ、心配なことはある?」

「………」


それだけは『いいえ』と答えられなかった。


私たちの間に沈黙が流れる。先生は私に悩みがあると分かっていても無理に聞き出そうとはしない。

いつだって先生は私のタイミングで話すことを待ってくれた。




「……先生。うちの両親ついに離婚するそうです」


言った瞬間、ぽろぽろと涙が流れる。