次の日。こんなに目覚めの悪い朝ははじめてのこと。
私は夜の間ずっと部屋の天井を見つめていた。雷に打たれたような感覚が今も続いていて、頭がクラクラとする。
お弁当を作る気力もなくリビングに下りると、ダイニングテーブルにはラップがかけられた私の朝ご飯が用意されていた。
【六花。またあとでゆっくり話そう】
いびつな卵焼きに焦げたウインナー。料理下手なお母さんが一生懸命作ったのだろう。
私はその気持ちを無下にするように置き手紙をくしゃりと丸める。
……今まで私のことなんて無関心だったくせに。
すべてがご機嫌取りのように思えて、私は朝ごはんには手をつけずにそのまま家を出た。
学校は普段と変わらない。
騒がしい教室も、誰かが書いた黒板の落書きも、いつものルーティンで回っている壁時計も。
おかしいのは、来年の春に私はもうここにはいないかもしれないということだけ。
「六花、おはよう」
登校してきた菜穂が真っ先に私のところへと来てくれた。
まだ、菜穂には言えない。
言ってしまえば本当に現実になってしまうから。
「うん。おはよう」
私は精いっぱいの笑顔で返した。



