「六花も知っていたと思うけど、私たちはずいぶん前から夫婦として限界だったの。これ以上、家族として一緒にはいられない。たくさん話し合ってそういう結論を出したのよ」
いつかはと心構えはしていても、答えを出す前に一言ぐらい相談してほしかった。
私はいつだって蚊帳の外。それが今は許せない。
「……この家を出ていって、私たちはどこに住むの?」
視線を合わせないまま私は尋ねた。
「そのことなんだけど……これを機にこの街からは離れようと思ってる」
その言葉に、私はピクリと反応した。
「は、離れるって……?」
「ねえ、六花。私と一緒に網走のおじいちゃんのところに行かない?」
再び速くなっていく鼓動。
「色々と、本当に本当に考えたの。これから六花を育てていくにはどうするべきか。今まではなんでも六花に任せっきりだったけど、それじゃダメだって。だから全部一からやり直すつもりで、向こうで暮らさない?」
お母さんの瞳が、逸らせないほど真剣だった。



