力が抜けたようにベッドに倒れ込んで枕に顔を埋める。
お父さんとお母さんが離婚する。
生まれた時から過ごしてきたこの家を出ていく。
理解しようとしても、それを心が拒絶していた。
私は薄暗い部屋の中でスマホをタップする。ぼんやりと光が浮かんでいる画面には郁巳先生の名前。
ボタンひとつでメールも電話もできる。
今、無性に先生の声が聞きたい。
でも、そしたら私は泣いてしまう。
それでまた先生に頼って寄りかかって甘えるだけになる。
……はあ、と鉛のような息を吐いたところで、部屋のドアがノックされた。
「六花。入るよ」
ガチャリとドアを開けたのは、お母さんだった。
お母さんはすぐに部屋の電気をつけた。明るくなった視界に戸惑いながらも、私は横になっていた身体を起こす。
「ごめんね。ビックリしたでしょ?」
「………」
お母さんは私の隣に座ってきたけれど、私の視線は反発するようにそっぽを向いたまま。
〝悪かった〟〝ごめんね〟
今まで私のことを放っておいたくせに、こんな時にだけ素直に謝ってくるなんてズルいと思う。



