「悪いな。六花。俺たちの都合でこんなことになって」
お父さんの口調は私の気持ちとは裏腹にすごく淡々としていた。
すると、お母さんがいつものように鋭い眼差しになってため息をつく。
「どうせ私たちを追い払ったあと、今の彼女とこの家で暮らすんでしょう」
「またお前はそうやって……」
「だってそうじゃない。下見をするようにしてあなたの彼女が家の近くにいるところを何度も目撃してるのよ」
「離婚したあとのことはお前には関係ないだろ。ちゃんと六花が成人するまでの養育費は毎月払うから」
「それは当然でしょ!六花はあなたの娘なのよ?」
「そんなに声を大きくするなよ」
また始まってしまった言い争い。
いがみ合う声も生々しいお金の話も、なにもかも聞きたくない。
「……ちょっと頭が痛いから部屋に行く」
ふたりにぼそりと告げたあと、私は2階にある自分の部屋に行った。



