「そういえば今日俺、夜の見回り行くから10時にはちゃんと寝とけよ」
先生がタバコの煙をふぅっと、私にかからないように吐いた。
「今日は抜け出す生徒がいないといいですね」
「本当だよ。なんで修学旅行っていうと別の部屋に行きたくなるんだろうな。まあ、俺も学生時代そうだったけどさ」
「菜穂の話では修学旅行の告白成功率は普段の3倍らしいですよ」
「へえ、それは逃しちゃまずいな」
先生がクスリと目を細める。
もしタイムマシンがあって、学生時代の先生に会いにいけたら私は今と同じように先生に恋をしたのかな。
きっと今以上に先生は人気者で、私なんて全然近寄ることもできなかったと思うけれど、私は間違いなく先生に惹かれていたと思う。
「……先生、私の気持ちに気づいてますよね」
告白成功率が上がっているから言うわけじゃなくて。これは私自身が後悔しないための選択。
「私が先生のことを好きだと言ったら迷惑になりますか?」
今度こそなかったことにされないように、私はちゃんと先生の目を見て言った。



