先生と17歳のあいだ





わざわざこの時間に外に行くなんて、きっと用事はアレだろうと私は察する。



「ごめん、菜穂。先に部屋に戻ってて」

「うん。わかった」


私は菜穂と別れて、そのまま先生を追いかけた。



先生はホテルの玄関近くにある屋根付きのスペースに立っていた。そこには木製の手すりがあり、雰囲気がどことなく学校の非常階段に似てる気がした。




「やっぱりタバコですか」


暗闇の中で、タバコに火をつけていた先生に声をかけた。



「は、お前、なにしてんの?」

「先生の姿が見えたので」

「そうじゃなくて、風呂上がりだろ。風邪でも引いたらどうすんだよ」



先生はタバコを口にくわえたまま、自分が着ていたダウンジャケットを私にかけてくれた。



「……これじゃ先生が」 


「残念なことに数十年風邪は引いてないから大丈夫だよ。おかげでズル休みもできねーよ」


先生のタバコの煙と白い吐息が夜空に深く溶けていく。


先生が貸してくれたダウンジャケットはとても暖かくて、先生の温もりが残っていた。



「部屋で吸えないんですか?」

私はそっと先生の隣に並んだ。



「俺以外の教師は全員禁煙者なんだよ。本当に喫煙者には悲しい世の中だよ」

「みんな身体に悪いから吸わないんですよ」

「健康を第一に考えてても病気になるヤツはなるよ」

「でも私は先生にも自分の身体を気遣ってほしいです」

「言ったろ。風邪ひとつ引かないって。丈夫だけが取り柄なんだよ、俺は」


改めて星が輝く北海道の空の下で、こうして先生と話していることが不思議な気分。