「六花、2組の女子もう廊下で待ってるって」
そして夕御飯が食べ終わって入浴時間になった。
40分という制限の中でお風呂に入るのはけっこう大変で、大浴場は広いけれどパウダールームと呼ばれる場所には限られた数のドライヤーしかない。
だから順番待ちをしていたらすっかり交代時間ギリギリになってしまっていた。
「うん。今行くよ」
私はなんとか髪の毛を乾かして、脱衣場から出た。
「今日のご飯も美味しかったね。2日連続でカニとか超贅沢だよ」
菜穂は歩きながら隣で炭酸を飲んでいた。北海道限定と書かれた熊のイラストが特徴的な缶ジュース。ちなみに味はコーラに近い。
「カニ食べてる時、みんな無言だったよね」
「うん。カニスプーンが気に入って売店で買うとか言ってる男子がいたよ」
「いや、売店にカニスプーンはないでしょ」
菜穂とそんな会話をしていると、ホテルの玄関から郁巳先生が出ていく姿が見えた。



