受け止めようとしたけれど、相手が男性だったので私もしりもちを付いてしまい、一緒に転んでしまった。
「だ、大丈夫ですか?」
柔らかい雪の上だったので痛さはなく、私はすぐに突撃してきた相手のことを見た。
「はい。すいません。止まれなくなってしまって」
男性は申し訳なさそうな返事をした。
あれ、この声って……。
「郁巳先生?」
まさかと思って名前を呼ぶと、先生は驚いたように顔を上げた。
「え、ま、的井?」
先生は顔に付けていたゴーグルを外した。
ふたりして見つめ合ったまま呆然としてしまったけれど、ひとつだけ確かめたいことが……。
「先生って、もしかして滑れないんですか?」
そんなに傾斜がきついわけでもないのに、先生はスピードを制御できていなかったし、かなり慌てた様子だった。
「……そうだよ」
先生は拗ねたように小声になる。
なんでも器用にできてしまう人だと思っていたから、かなり意外というか……。ちょっと、可愛い。



