「そういえば来月修学旅行でしょ?懐かしい」
「先輩の時も北海道ですか?」
「そうだよ。俺たちの時は何故か1月に行ってさ。マイナスの気温なんて経験することないからみんなで寒い寒い言ってたよ」
先輩が当時を思い出したようにクスリと笑みを浮かべた。
「たぶん11月でもこっちに比べたら寒く感じると思いますよ」
「そうだろうね。お土産期待してるね」
「え、は、はい。なにがいいですか?」
「はは、冗談だよ」
先輩の笑顔を見ると心が穏やかになる。
先輩は歩く時も話す時も私のペースに合わせてくれるから、隣にいるだけで暖かい気持ちにさせてくれた。
「修学旅行、郁巳先生も行くんだよね?」
「え、まあ、引率なので……」
というか担任だから私たちの傍にはつねにいると思う。
それが今は少し憂鬱。だって、顔を見るたびになかったことにされたキスを思い出してしまうから。



