先生と17歳のあいだ









それから数日が経過した金曜日の放課後。



「ねえ、六花。今日私、車で帰るんだけど時間が合うなら一緒に乗ってく?」


いつもなら早々に帰り支度をはじめる菜穂が優雅に席に着いたまま雑誌を広げていた。



「ううん。送ってもらう距離でもないし大丈夫だよ」

「そう?気が変わったら言ってね。私、説明会が終わるまではここにいるから」

「うん。ありがとう」


実は今日、修学旅行の保護者説明会が体育館で行われている。

菜穂のように終わるのを待って車で帰る人も多い中で、私は風紀委員会があるので特別活動室へと向かっていた。



あれから、先生とはふたりきりで話していない。


菜穂には明るく『なかったことにされちゃったよ』と報告したけれど、菜穂は私が落ち込んでいることに気づいていたと思う。


あえて話題にはせずに、いつもどおりに接してくれる菜穂の優しさが今は胸に沁みる。


先生への片想いが容易ではないことは重々に理解していたつもりだった。でも、やっぱりまだショックが癒えていない。




「的井さん」



委員会は週目標などを発表するだけで、今日はとても早く終わった。

だけど私はずっと上の空で、正直なにを話し合ったのか頭から抜けてしまっているほどにぼんやりしてしまっていた。



「大丈夫?なんか疲れてる?」


こんな時、和谷先輩は決まって私に声をかけてくれる。


「平気です」と首を横に振ると、先輩は私の隣に並んで歩きはじめた。