「おはよう、六花」

たくさんの生徒たちが登校してくる中で、菜穂と校門前で鉢合わせになり明るい声をかけてきてくれた。



「ねえ、今日の体育面倒じゃない?グラウンドでマラソンとかさー」

「菜穂」

「んー?」


私はすがるようにして菜穂に昨夜のことを打ち明けた。




「えー嘘、キス!?」

教室に着いたあと、予想どおり菜穂は驚いたように声を大きくした。

 

「ち、違うの。口じゃなくてほっぺに軽く」

と言っても、ばっちり先生の肌の感触は残っているけど。



なんで私はあんなことをしてしまったんだろうか。でも、だって、先生があまりに私のことを意識してくれないから。



「なんか可愛いね、六花」  

「え?」

「恋してるなって感じ」


そう言われて私はまた顔が熱くなる。
 


「大丈夫じゃない?いくみんも酔ってたんでしょ?」


「う、うん」


「それにしても六花がね」


「掘り起こさなくていいから」


菜穂はなんとなく私が大胆な行動をしたことに喜んでいるようにも見えた。