先生と17歳のあいだ




……ガタガタ。

物音に視線をずらすと、私の様子を心配しているかのようにカメが水槽を引っ掻いていた。



「……ちょっと、失敗しちゃったよ」


カメに話しかけるようにして私は呟く。


あのままもう少し踏み込んでいたら、先生に気づかれるどころか困らせてしまう結果になっていた。


壁時計を確認すると、もうすぐ予鈴が鳴る時間。

そろそろ教室に戻ろうとすると、上履きでなにかを踏んだ。先ほど机から落ちたプリントの一部だ。


拾い上げて元の位置に戻すと、太陽の光に当たってキラリとなにかが輝いていた。

それを手に取って、私はため息をつく。



……机に灰皿を置いておくなんて本当に不用心。


禁煙もできないし、なにをしても長続きしないらしいし、先生ははっきり言うと脇が甘いところがある。

でも、隙はない。


先生の心に入り込む隙間がこれっぽっちもない。



【六花、次教室移動だよー】


静寂を切るようにして菜穂から届いたメール。私は悶々とした気持ちのまま数学準備室を出た。