「私なんてふたりにとって必要ないんですよ。突然いなくなったって別に……」
「そんなこと言うな」
ずっと黙って聞いてくれていた先生が声を出した。
「必要ないなんて、言うなよ」
「……っ」
先生があまりに真剣な顔で怒ってくれたから、私はたまらずに啜り泣いた。
初めて家族の話を誰かにした。
本当は聞いてほしかったし、こうして泣きたかったけれど、それを許してもらえる場所がなかった。
でも、ここなら。先生の前でなら……。
「……先生、ちょっとぎゅってしていいですか……?」
「うん」
自分から寄りかかると、先生は包むようにして背中を擦ってくれた。
耳から伝わってくる先生の鼓動が心地いい。
「……先生って、なんでこんなにいい匂いがするんですか?」
「ん?タバコ?柔軟剤?」
「ううん、先生の匂い」
「犬か」
「ふふ、はは」
先生の突っ込みに私は自然と笑ってしまった。
泣いたり笑ったり、本当に忙しい。
でも、先生に話してよかった。
先生じゃなかったら、話せなかったと思うから。



