綺麗な花さえも黒い塊に見えるほど明かりがない空間で、私は手探りに石を探す。そして、それを迷わずに池の中へと投げ入れた。
「おい、どうした急に」
ポシャンッという音と同時に先生が驚いていた。けれど私は続けざまに何個も石を池に向かって投げる。
「昔こうしたらめちゃくちゃ怒られたんですよ。花に当たったら可哀想だろって」
「………」
「花の気持ちは思いやれるのに、どうして両親は私のことを気にしないのでしょうか」
悲しいを通り越して虚しくなってくる。
「本当に昔は仲がよかったんですよ。別に記念日でもないのに家族写真を頻繁に撮って、お父さんは腕もないのに一眼レフを買いました」
私は思い出の糸を辿るようにして想いを吐き出した。
「それでお母さんはリビングに写真を飾って、それは日に日に増えていきました。でもお父さんの一眼レフもお母さんが並べていた写真立てもうちにはありません」
なんでこんな風になっちゃったんだろうってすでに100回くらい考えてるけれど、やっぱり今も考えてしまうのだ。



