先生と17歳のあいだ





暫く先生と肩を並べて歩いていると、私はあることに気づいた。

こんな時、先生が決まってポケットから取り出すもの。それは……。



「先生、タバコは?」


いつもならすぐに火をつけるのに、今日はタバコすら出さない。



「うーん。俺けっこう反省したんだよ。やっぱり学校で吸うのはダメだったよなって」


「禁煙ですか?」


「そう思って二日ぐらい我慢してるけど、ほら、ポケットにはこうしてつねに常備しちゃってる」と、青いパッケージのタバコを私に見せた。



先生がタバコを止(や)める努力を密かにしてたなんて知らなかった。

まあ、今にも手が伸びてしまいそうなほど意志はあまり強くなさそうだけど。




「俺、昔からなにをするにも長続きってしたことなくてさ。たぶんタバコも明日には吸ってる」


「長続きしたことないって……恋愛も、ですか?」


「うん。だから俺みたいなヤツはずっと独身のままだよ」



だから先生は彼女を作らないのかな。


遊んでる人はいるけれど、縛り合うような関係ではない。

そこにホッとしてる自分もいるけど、やっぱり先生の家に女の人が出入りしてることも、親しげに触れられてる姿も想像なんてしたくない。



「……先生が独身のままなら、いつか私が貰ってあげてもいいですよ」


「はは」


けっこう本気で言ったのに笑われてしまった。