「追いかけてた最中はちゃんと的井だって確信してたよ」
「そういう問題じゃありません」
「仕方ないだろ。お前かもしれないって思ってからは無視して帰ることもできなかったんだから」
先生はもどかしそうに髪の毛をガシガシと掻いた。
おそらく夜道をひとりで歩いていた私のことを心配してくれたのだろう。方法に問題はあったけれど、先生の気持ちは素直に嬉しかった。
私はコンビニ帰りだったであろう先生の落としたカップラーメンを拾う。正確には私が袋ごと吹っ飛ばしたものだけど。
「今日は車じゃないんですか?」
「うん。給料前だからガソリン入れてない」
私も落ち着きを取り戻して、先生と夜の道を歩くことになった。
先生の服装は学校にいた時と同じだった。もしかしてあれからずっと仕事をしていたのだろうか。
なのに、晩ごはんはカップラーメンって……。先生の体調のほうが心配になってきてしまう。
「……女の人にご飯くらい作ってもらったらいいのに」
私は皮肉まじりにぽつりと呟いた。
「そういうお前も夜に散歩する時は和谷を呼べよ」
「別に先生には関係ないでしょ」
「はいはい。そうですね」
気にしているのか、そうじゃないのか。少なからず先生は私みたいに嫉妬したりはしてない。



