先輩にはなんでもないと言ったのに、頭の中ではお父さんの姿が離れなくて夜になっても私は鬱々としていた。
もちろんお母さんはまだ仕事から帰ってこないし、晩ごはんの支度もしていない。かと言って作る気にはなれないし、お父さんは今頃まだあの人と……と、考えただけで気持ち悪くなってくる。
私は外の空気が吸いたくなって、そのまま家を飛び出した。
ついこの前までは半袖でも暑いくらいだったのに、今は風がひんやりと冷たい。
もう、10月。季節は移り変わっていくというのに、こうして家族のことで家にいたくないと夜の街を徘徊してるのはこれで何度目だろうか。
いっそのこと今すぐにでも両親が離婚してくれたほうが楽かもしれない。
でも、そうなった時、私は今の生活を続けられないかもしれないし、本当に家族としての形がなくなってしまったら……。
幸せだった頃の家族の思い出までもが跡形もなく消えてしまいそうで怖くなる。



