うちの文化祭の意義は生徒の自主的運営なので出し物や制作、当日の運営まで生徒たちが仕切ることになっている。
だから教師たちも裏方という立場で生徒たちの補佐だけをするので、楽しみにしてる先生たちも多いと誰かが言っていた。
……郁巳先生はきっと当日もたくさんの生徒に囲まれてしまうだろうな。
しかも他校の生徒たちも訪れるわけだし、これ以上人気者にはなってほしくない。
「ねえ、文化祭の見回りの時間帯、俺と的井さんで合わせてもいい?」
「……え?」
基本的に見回りは各クラスごとのペアでやることになっている。けれど、話し合いにすら参加しないうちのクラスの男子が見回りなんてするはずがないことは分かっていた。
「うちのクラスの女子も吹奏楽部の演奏が当日にあるから俺もペアがいないんだよ。だから一緒にしても大丈夫?」
「……え、は、はい」
「よかった。じゃあ、よろしくね」
先輩が嬉しそうにニコリとした。
先輩からの好意を知っているのに、一緒に回ることを許してしまったことはダメなことなんじゃないかと後で気づいた。
でも、『やっぱり違う人でお願いします』なんて……先輩の顔を見たら言えなかった。



