「だってもうすぐ文化祭じゃん!文化祭なんて出逢いしかないよ!」
菜穂が興奮したように鼻息を荒くする。
つい先日のロングホームルームで文化祭の出し物についてみんなで話し合った。
クラスメイトがひとりずつ自分がやりたい出し物を紙に書いて、それを実行委員が黒板に書き出し、正の字で票をまとめていくというシンプルなやり方だった。
結果として一番多かったのは喫茶店。けれど他のクラスと被る可能性があるので、また話し合って二年一組はお団子などを出す和装喫茶に決定した。
当日は接客する人だけが着物を着ることになっていて、着物はもちろん午前と午後で交代して着回して、茶道部の人たちから借りる予定になってるそうだ。
「でも私、六花と着物で写真撮りたかったよ」
菜穂がガッカリした表情をしていた。
実は私は文化祭の日は委員会の仕事がある。
生徒たちの風紀を見回るために腕章を付けて校舎を歩くので、私は接客や宣伝といった役職には一切入っていない。
「着物姿の菜穂の写真いっぱい撮ってあげるから。それに午後からは一緒に他のクラスの出し物回れるよ」
「私は六花と接客したかったのに……」
残念がってる菜穂が可愛い。
イベントごとなんて憂鬱でしかなかったけれど、こんなに待ち遠しい気分は初めてだ。



