注文したものがテーブルに運ばれてきて、私は約束どおり先生に一口サイズのハンバーグを切ってステーキの鉄板の上に添えた。



「こんな時間に食べてまた胃もたれしても知りませんよ」


「大丈夫。もたれても俺ももう夏休みだし」


フォークとナイフの使い方がぎこちない私と違って、先生はとても上手にステーキを切っていて、一番柔らかそうなお肉をハンバーグのお礼にくれた。



「どこか出掛けたりしたんですか?」


「あいにく俺は炎天下の中でプールに行くほど若くねーよ」



ということは、やっぱり家に女の人を招いて遊ぶことのほうが多いんだろうか。


私は押し掛ける勇気なんてない。むしろ、先生に会うには理由がいる。



「冷めるぞ」


ぼんやりと手を止めていた私に先生が言った。私はフォークでハンバーグを口に運びながらぽつりと問いかけた。



「じゃあ、最近の先生の出来事を教えてください」


なんでもいいから知りたいと思った。先生は困る素振りも見せずにすぐに答えてくれた。