奏多の方を振り返ると、結界の中の虫がキラキラと光るように消えていく。 「…うるさいな」 「澪を託すにはまだ力が足りないようだがな、陰陽師としても、男としても」 「余計な事を言うな。終わった、澪を戻すよ」 「いいだろう」 奏多はこの間のように、澪の痣に触る。