「つまり。君が好きな男はモテるんだ?」

「モテるなんてもんじゃない。学園王子なんですから!」


興奮気味に力説するのは

茶色ショートボブに赤い眼鏡、よくわからないカラフルな謎センスの服を着た女子高生。


それ本当にオシャレだと思ってるの?


好みってのは十人十色だね。


僕はシンプルが一番だなー。白か黒。


この世界もいっそモノクロになったらいいのに。

ごちゃごちゃしすぎ。


「みんなの王子様を自分だけのものにしたい。そういう注文でいい?」

「はい!」


なんて簡単な依頼だろう。


「なら、鎖でも繋いでひと目のないところに監禁すればいいよね」

「いやっ……そういう非現実的なのはちょっと」


僕からしたら現実的だけどねえ。

そうすれば自分のものになるだけでなく、誰とも触れ合わせることもしなくて済む。


一石二鳥どころか得しかないんじゃないの?


まあ、依頼人がまともな人間とわかったところで本題に入るか。


と、その前に。


「五万」

「え……」

「それで君の存在を認識させてあげる」