時のなかの赤い糸



そして彼は遥の名札をのぞく。



「……綾野さん…」




彼、永倉が言って遥は大きく頷くと二人の間にどこか懐かしいような空気が流れた。




「…それじゃあ」

「あ、はい」




永倉が去っていくと、遥の脳裏に声が伝う。



――――時代がなくなった理由――――


――――監督に選ばれた綾野が――――


――――――戻ってきてしまったから――



「……監督?」




遥は首を傾げた。



――――監督、時代が重なるにつれ―――


――――歴史に歪みがしょうじる――――


―――そのために―――


―――――100年に一度―――――

―――――歴史の見届け人を―――――

――――その歴史が終わるまで―――――


――――見る必要がある――――――




遥は頭の中で考えた。



100年に一度、遥のようなタイムスリップしてしまった人がいて、



そして歴史の歪みを治していくんだ。



(でも、歴史が終わる頃あたし、歳をとっちゃうんじゃ?)



遥は心の中で言うと、

―――――大丈夫――――



と、返事が帰ってきた。