時のなかの赤い糸



そして遥は授業中に寝ていたわけだ。



久しく感じる授業の風景に少し肩がすくんだ。



授業の終わりのチャイムがなって、遥は駆け出した。




目的地は…………




渡り廊下。





渡り廊下のいくと、グランドを見つめた男子生徒が手刷りに体重をかけて立っていた。




誰だかわからない。

(こんなひといたっけ?)




遥がガン見していると、ゆっくり彼はこちらに顔を向けた。




一瞬だけ、遥には彼が永倉に見えた。



雰囲気というか、オーラが永倉そっくりだったのだ。



戸惑い気味に、それでも遥は彼を見続けた。




「……?こんにちは」



すると彼は、軽く会釈して遥の横を通りすぎようとした。



「……永倉…」



一瞬視界に入った永倉の文字。
それは彼の名札だった。




「…え、と。はい、永倉です」




戸惑った彼は、苦笑いしながら頭をかいた。