時のなかの赤い糸



声が途切れると、遥の意識も途切れた




暖かい永倉の腕のなかに目覚めた遥が目を擦ると、永倉は優しく微笑んで唇を重ねた。




「綾野」


「永倉さん……!!!」




遥が必死にしがみつくと、永倉もきつく遥を抱き締めた。




「何が何だか分かんないよ…」

「歴史がかわったのは本当だよ」




永倉の顔を見上げると永倉は苦笑いを浮かべている。




「どうして知ってるの?」




「綾野―――――!!!!!」



―――――――ピコーン!!




遥のおでこに、みごとに白いチョークがあたたった。



教室じゅうが大爆笑の渦に巻き込まれるなか、遥だけがポカンとしていた。



(そっか、今授業中だった)