「山崎さんのおかげですごーく危なかったですよ今っ」



土方が屯所に戻ったのを確認して遥はため息をはいた。



遥たちに山崎は近付くと、ニッコリ笑って遥の腕を掴んだ。




「や、山崎さん?」



「ちょっと綾野借りるで、永倉さん」




遥の戸惑いをよそに山崎は遥の腕をそのまま引っ張って歩き出した。




屯所の裏の小川まで来ると、いきなり山崎は瞬歩しようと構えた。




「ややややや山崎さん?!!」



焦る遥は山崎と離れようとしたが、時すでに遅し。



また時間の狭間に遥と山崎は入ってしまった……




遥の胸中に不安が過る――――――――



このままもといた世界に帰ってしまうのか


と。




良いことなのに、どうしてもここにいたいという意識が勝っていた。