「永倉さ――ぁん」




遥が永倉のもとに屯所の前の道を走った。



「綾野ぉ?」




あのことがあってから、永倉は素直に遥に謝って、なんとか許しを得たのだが、今日のこの日まで永倉が遥に触れることはなかった。





「聞いて下さいよぉ」

「どした?」




遥は永倉の手前で来た道を振り向くと藤堂と沖田が同じように走ってきた。




「綾野さん―――」
「遥――――ι」




息を切らした藤堂沖田は永倉の手前で座り込んだ。



遥も前屈みになって息を整える。




「土方さんが鬼――――!!」



遥は泣きまねしながら言うと、屯所から土方が手を組んで出てきた。




「帰ってこれたのか」