「…はい」
真っ直ぐ土方を見る永倉の目は真剣そのもので、遥は顔を赤くした。
「悪いが別れてくれ」
土方の言葉に永倉も遥も固まった。
(別れる?)
「そのような気持ちが悪い結果を招く」
「俺達はそんな…」
永倉が声をあらげると、土方はじっと永倉を睨んだ。
「…土方さん」
「隊の中では我慢してくれ」
遥はゆっくり頷いた。
「綾野」
永倉が驚いたように遥を見ると、遥は永倉を見た。
「これからもっと大変になります。
だから……終わるまで…
この戦いが終わるまでは…」
「………」
永倉は黙って稽古場に戻ってしまった。
(きっとわかってくれたはず)
遥はただ信じた。