綾野は足で土方の首に触れると紫の蝶を蹴った。
『時期にこの蝶が体のあちこちにできてこの男たちも死ぬよのう』
甲高く綾野が笑った時、消えてしまった記憶が全員に戻ってきた。
「あ、綾野…」
永倉が遥を呼ぶ。
だけどその姿はどこにもなくて、その場に座り込んだ。
「くそ…俺としたことが」
土方は悔しみで力の限り床を叩いた。
『永倉には特別に
私が手をかけて差し上げよう』
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遥はじっとあの日の遥が動きだすのを見ていた。
あの日の遥はゆっくりと階段を降りて行こうとした。
「ま、待って」
遥はこのままあの日の自分が振り返ってなかったら永倉に会うこと出来なかったと思うと体が勝手に動いていた。

