あたし以外は皆着物で
木造のお家ばっかりで
もう、あたしの住む場所には帰れないのかな……なんて考えていると遥の目に涙がたまっていた。
「………」
もう歩き疲れて、井戸にもたれかかってその場に座り込むと膝のなかに顔を埋めた。
「変な格好した女がいるぜ」
「格好はいいじゃねーか」
「暇潰しにはなるだろーよ」
耳に聞こえる三人の男の声。
顔をあげるとニヤニヤ笑った男が刀を遥に向けていた。
「…なっ…?!」
刀を向けられたことは初めてで、どう反応すればいいか全くわからない。
だけどこれは、絶体絶命?
額に冷や汗が流れて、目を刀から離せなかった。