時のなかの赤い糸



「よく来た。新撰組」



将軍を前に、広間の畳に近藤を後にする全員が座った




「あれ?綾野は?」




始めに気が付いたのは永倉だったのだが、皆の様子がおかしかった。




『いるじゃないですか、ここに』



不適な笑みを浮かべて、永倉の手に、自分の手を絡める遥。




『間に合わなかった』



そう言うと、遥は目の色変えて永倉に息を吹き掛けた。




「綾野……」



『まぁ、今はまだいい』




皆の首もとに、紫の蝶が浮かび上がった




「近藤。長州のほうから幕府軍の護衛にかかるわけだが、その際に長州とはまだ関わりを持たないでほしい」



「はい。承知しております」