時のなかの赤い糸



「未来か?」



山崎は言うと、遥は静かに頷いた。



時間も季節もあの日のまま。



戻ってきたのに戻った感覚がしなかった。




「良かったやん」




山崎がポンポン頭を叩いた。




その時、渡り廊下にあの日の遥が現れた。




とっさにクラスの廊下に逃げ込む。




「あれ、綾野か?」


「うん。タイムスリップする前のあたし」




山崎と遥は窓からコッソリあの日のあたしを見た。




まだ、永倉に出会っていない
恋をしらないあの日のあたし。




遥はしっかりと見続けた。




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その頃、山崎と遥がいなくなってもそれに気付かない新撰組たちは、徳川将軍のもとにいた。