「永倉さん」



ん?と永倉が振り返った。



「最後に、最後にもう一度、キスしてください」




遥の言葉に意味を理解した永倉が走り出した。



「っな、永倉さん!?」




遥も必死で追いかける。


「ちょっと待って下さいよっ」




遥が言ったとたんに永倉は立ち止まった。

案の定、遥は永倉の背中に鼻をぶつけて鼻を手で押さえた。



「痛いです……」



痛みから涙がうっすら浮かぶ。


永倉は遥の方に振り向くと、一瞬のうちに遥を抱き締めた。




「永倉さ、ん」


「遥、」




ただ名前を呼ばれただけなのに胸が熱い。



永倉は腕の力を弱めると、遥と額同士をくっつけた。