時のなかの赤い糸



「時代背景がめちゃくちゃだな」



苦笑いする永倉に遥が肩をすぼめた。

一年間、歴史は結構勉強したつもりだったが、遥はめっきり記憶が抜けていて幕末の中国の名前なんて覚えてなかった。



そのかわりに出てくるたくさんの単語


「明?あ、高句麗?遣隋使?遣唐使?」

「はいはい、清だから、清」



なんとなく永倉にとっても歴史な単語だからわかったのか、笑いながらポンポンて頭を叩いた。



「遥は外国の食べ物も知ってんだ」



感心感心と遥の頭の上に永倉が顎を置いた。



「未来では色んな国の食べ物が簡単に食べれるようになるんです」




得意気に話す遥の体を後ろから少し抱き締めた。




「……それで、すごく美味しいものも、いっぱい……で」




恥ずかしくなった遥が少しずつ声を小さくしていって野菜を切ることだけに集中した。