「だから今度は私が渇を入れてやるんです」
グフフと包丁片手に振り返って笑う遥に、永倉はもっともっとひきつった笑みで対応した。
「いいと思う。思います」
「何で敬語なんですか?」
サクサクと野菜を切っていく遥の周りには音符が飛んでるように遥は呑気に歌を口ずさんだ。
「今日の夕飯何?」
刀磨ぎが終わった永倉が道具を直しに台所に来た。
台所はひんやりとしていたが、遥のいる辺りはお湯の湯気で温まっていた。
「今日は和風チャーハンです」
「和風チャーハン?」
聞いたことのない単語に永倉が首を傾げる。
「んーと、あっ中国の料理です」
「中国?」
「……………清かな?唐かな?随でしょうか?」

