遥はギュッと永倉のお腹に抱き着いた。



「もうすぐ離ればなれになってしまうんですね」



こもった遥の声

永倉はそっと遥の頭に手のひらをのせてポンポンと優しく叩いた。



「泣くなよ」



「泣いてなんていません」そお言う遥の声はグダグダで、永倉はフッと笑った。




その様子を遠くから見ていたのは江戸城から近藤と共に帰って来た土方だった。



土方はただ何も言わず、愛しい人にすがる遥を見て何かを決めたように立ち去った。




遥の涙が永倉の着物を濡らす。


「鼻水とヨダレだけは勘弁してくれよな」

「う゛ーっ永倉さんの馬鹿ぁ!!」




永倉も見えていて見えない未来にただ戸惑っている。


別れは見えているのだ

だけど




まだ、それは霧の中のようにわからない。