「うちの隊士が何かしましたか?」
凛とした声に男たちの動きが止まった。
「綾野くん。刀から手を離しなさい。仲間同士で何をするつもりだい?」
この声は、今までずっと慕ってついてきた
近藤局長………!!
近藤は、門の近くまで歩み寄ってきた。
近藤の強い声に遥は意識を取り戻すと刀を離して少しぐらつきながら立ち上がった。
「申し訳ありません」
何に謝る理由はなかったけれど、遥は自分の未熟に頭を下げた。
闘わないといけないのは仲間同士じゃないのに……。
「うん。で、水戸藩の君らは綾野くんに用事だったのかい?」
近藤は遥の気持ちを知るように頷き、水戸藩士を見た。
「……あんたが新撰組の大将か」
ずっと嫌味を言っていた男が近藤を見て嘲笑った。

