「……そやろ、遥」
永倉に向かっていた山崎の視線が遥とぶつかる。
「…………」
永倉も遥の答えを待つように遥を見た。
山崎の言ってる事は正しくて、
だけど遥は頷けなかった。
永倉の事を思えば思うほど、優しくしてくれた土方の姿が遥の心を満たしていた。
「頷けよ、遥」
永倉でも、山崎でもない声。
「土方さん」
個室に訪れたのは土方だった。
「きたきた」
山崎は全てわかっていたような笑った。
「遥、気付けよ。
お前と俺じゃ駄目なんだ。もちろん俺は遥を愛してる。
だけどな、遥と永倉は俺にはない物で繋がってんだよ」
土方は愛しい女の髪をかきあげた。
愛してるでは敵わない。
「赤い糸だよ」
“赤い糸”
運命なんて信じてなかったのに
遥は振り返って永倉を見た。
「山崎、行くぞ」

