時のなかの赤い糸



「……そろそろやな」




山崎が呟いた瞬間、スパンと戸が開いて遥は凭れていたせいで後ろに倒れそうになった。



(転ける……!!)



と思った時、グイッと肩を抱かれた。



「早いお出ましで。けえへんかったら俺的に嬉しかったんやけどな」




山崎は出窓に腰かけて笑った。



「なんの真似だ?」




頭の上から聞こえた声に遥は目を見開いた。



永倉だ。




「自分の気持ち、よおわかってんねやろ?ずっとつけて来てるのまるわかりや」



永倉は遥から手を離すと山崎を睨んだ。




「遥も、いいかげん永倉に抱きついたら?見てるこっちが辛いねん」



「え……」




「永倉さん、あんたは遥が未来に無事に帰れることを願ってんねやろ?
ほんならあんたが遥を側で守らなあかんやんか」


「遥には土方さんがいる」


「遥は副長やなくて永倉さんを望んでる」