時のなかの赤い糸



「遥?」



さっきの店の前でキョロキョロする遥を、たまたま通りかかった山崎が話しかけた。



「あ、山崎さん」

「どないしたん?」

「この風呂敷の持ち主を探してるんです」




そう、あの女の姿は店からすっきりと消えていた。



「それが大切なものだったら後日屯所に取りに来るんじゃないのか?」




山崎は、それより、と遥の手をひいて歩き出した。



「副長の部屋に行くな」

「何でですか?」




山崎が横目で遥を見る。


「俺は、遥と永倉さんやったからお前を諦めたんや。
まだ、副長とは寝てないんやろ?」




遥はいっぺんに話されるには内容が濃すぎて言葉が出なかった。



「寝たんか?」

「寝る?…………嫌、寝てないです!!」



まず一つ理解して、遥は真っ赤になって首をふった。