時のなかの赤い糸



「あの、私風呂敷を返して来ます」



遥は盗人から取り上げた風呂敷を持って永倉を見た。



「俺も行くよ」

「一人で大丈夫です」




永倉の言葉に笑顔で答えると、遥は永倉を避けて走り出した。



“どうして拒絶したんですか?”



遥の後ろ姿を目で追いかける永倉の脳裏に、さっきの遥の言葉が重なった。




遥を拒絶したのは、大分前の事なのに、今でもあの時の感情が、遥の表情が

永倉の中に波のように押し寄せてくる。




遥は、土方が守っているとわかっていても




“どうして拒絶したんですか?”




遥の言葉に少し、まだ自分を嫌ってはいない。なんて勝手に思っている自分に永倉は嫌気がさした。



そんな感情を抱いたところで今の状況は変わらない。



変わってはいけない。



遥には、無事にもといた世界に戻ってもらわなければならないのだ。




責任感と、理性の間で永倉は遥の後ろ姿を見送った。