時のなかの赤い糸



「遥……」




夜中、自室に戻った土方の部屋に、膝を抱えて眠る遥の姿があった。




「…何してるんだよ……」

「あ、…土方さん」




膝から顔を出して、遥が安心したようにニッコリ笑った。




「ずっと待ってました」




遥は両手を伸ばして土方の頬に触れる




「いつでも来ていいって」

「うん。いてやれなくてごめんな」




遥の手が冷たい。

土方は、遥の小さな手に自分の手のひらを被せた。



「いいんですよ、土方さんの部屋にいるだけで安心出来るんです」




遥を前にして、我慢なんて出来ない。

ずっと欲しかった存在。




遥の手を勢いよく引いて唇を重ねた。



唇を重ねるたびに夢中になってしまう土方の逸る気持ち。



それと同時に、受け入れてくれる遥に、少しの壁を感じる気がした。



こんな壁、壊したい。