遥の肩を痛め付けた永倉が憎い
それでも永倉を愛す遥が憎かった。
「………」
遥はきっと部屋にはこない
土方の足は、自室ではなく沖田の部屋に向かっていた。
「土方さんじゃないですか」
布団の中でニッコリ笑う沖田
「具合はどうだ」
「絶対安静。忙しそうな土方さんが憎いですよ」
沖田は、結核と闘っている
自分は、いったい何と闘っているというのか。
土方は沖田にゆっくり話し出した。
「総司聞いてくれねーか?」
「なんですか?沢山聞かせて下さい」
沖田はずっとニコニコしている
「俺は遥を愛してる」
「知ってますよ。でも永倉さんがいるじゃないですか」
「そうなんだよ、どうやって振り向かしたらいいと思う?俺は傷付く遥を黙って見てりゃいいのかよ」
土方の困りように、沖田はクスッと笑った
「鬼の副長もお手上げですか?」
くくく、と笑う沖田に、土方も笑った