「………」
「さようなら永倉さん」
遥はスタスタと永倉に背を向けて歩いていった。
「遥もらうからな」
「どーぞ」
永倉は自室に入っていった。
「遥」
「あ、土方さん」
自室に戻った遥を土方がギュッと抱き締めた。
「なんかあったらすぐに言いな」
「はい」
「俺に甘えていいからな」
「はい」
「永倉のことなんか忘れさせてやる」
「……はい」
土方の背中にゆっくり手を回してすがり付く。
今、遥の居場所はここ。
こんなに暖かくて力強い場所。
遥はそこに必死にすがり付いて自分の心の穴を埋めようとした。
永倉は、どうしてあんな風に遥を痛め付けたのか。
いまだに少しヒリヒリする肩。
嫌いなら嫌いでいい。
理由が知りたかった。